大井川鐡道・きかんしゃトーマス号の製作

 

昨年9月に訪れた大井川鐡道。久しぶりのSL2014年の出来事のうち「赤い南海ラピート」と並ぶほどの大人気列車となった「きかんしゃトーマス号」でした。

たかがハリボテ・・・と侮ることなかれ、元祖英国のトーマス号以上に良い仕上がり(特に表情・CGになった第13シーズン以降)で、元がお馴染みのC11227号機とは思えないほどで、とても感動しました。


何とか模型化を・・・と構想を練っておりましたが、格安のC11を見つけ、何とか目途が立ちそうなので手を動かしてみることにしました。

 

まず悩んだのが追加で作られた第一動輪上にある半円形のカバーです。半円形の成形は難しく、プラ板やパテ等で精巧に曲線を作るのは難しそうです。
困ったときに見るのは文具類です。今回は「半円」ということから当てにしておりましたが、修整ペンの蓋がちょうど良いサイズです。修整ペンとしては使えなくなっていたのでこれを使います。まず半分に割り、厚さを現物合わせで調整します。


実機は実は左右非対称で、非公式側は半円板なのですが、強度と見た目を重視し左右とも同じ形状にしました。

車体に刃を入れていきます。

 

まずはデフレクターの切り取りです。最新のものは接着が弱く簡単に取れたと思うんですが、これは古い電球の時代のロットです。ニッパーで大まかに切り、デザインナイフで少しづつ削っていきます。上部はデフレクター支えの基部をきれいに揃えます。下部にある箱状のものは点検蓋に似ているので残してあります。

次にライトを切り取ります。これは移設するので慎重に・・・
半円状のカバーを取り付ける際に邪魔なランボード上の機器を削っていきます。
そしていよいよ・・・煙室扉の除去です。
勿体ないなぁ・・・と尻込みしますが奮起し削ります。新品だったらできない。(笑)

トーマス号を前から見ると、煙突前にある蒸気管?が後ろ側に移設されているようですので、切り取ります。(あ、でも190号機も後ろ側にありました。もともとそうなのかな?)

キャブ前面は丸窓の穴だけ、φ3mmのドリルで開けておきます。ナンバープレートも使いませんのでプラ板で埋めます。
最後に溶きパテで細かい修正を行い、仕上げます。



今回の工作部分で悩んだのが「点灯か、非点灯か」です。非点灯式は簡単です。移設したライトに台座を継ぎ、ステップ部に固定するだけです。
ただ、今回の大井川の殊勲のひとつが「ライトの移設の潔さ」です。とはいえ保安部品ですしきちんと点灯して走っています。やはり光らせたいです。
最初導光材を下に潜らせてからという方法も考え実施しましたが、先輪の動きに干渉するようで、また光もイマイチ届きません。
ビジュアル的には格好悪くなりますが、後ろ側から導光材を回すことにしました。


導光材自体も発光するため、カバーとしてφ15のスプリングの中に通します。

スプリングの先端をライトに、もう反対側を麦球側に配置し固定します。

 

 

さて、ここまで工作しても肝心の「顔」について考えていませんでした。確か以前にトミカトーマスの貨車をナロー貨車としてNゲージ走行化したとき、一緒ににあった「パーシー」の顔が同じくらいの直径だったはず・・・ということでおもちゃ屋さんへ。
貨車2両付のトーマスが箱入りで売ってました。

箱絵のトーマスが微妙に似てない。(笑)


以前はブリスターパックでの販売方法したが・・・変わったんですね。貨車2両も今後Nゲージ化して余すことなく使いましょう。(笑)

顔はプラスチック製ですが機関車本体はダイキャスト合金製で分解は容易ではありません。

下側の車輪押さえをニッパーで壊し、上下を分割します。
顔の部分の裏側はダイキャストを通し焼きつぶしていますので、焼きつぶし部分を削って楊枝等で押せばポロリと落ちます。

 

外れた顔の余分を削り、C11に合わせると・・・若干(05mm)ですが大きいです。とはいえ大きい方がハリボテ感があっていいと思います。(逆に小さいとバランスが・・・)

 

細かい修正です。
削ってしまった蒸気管は線材にビニールチューブを輪切りにしたものを通して煙突後ろに穴を開けて取り付け、ボイラー途中から途切れた部分はストラップからナイロン糸を取り出し折り曲げて蒸気管につなぎました。

汽笛は元のモールドを削って家にあったASSYパーツの汽笛を取り付けました。


本来のきかんしゃトーマス号は日本に遊びに来ているため、現地の習慣?に合わせてバッファーを取り外しています。(実機も黒丸のペイントのみ)

ところが・・・先に日本に里帰りしていたD51「ヒロ(9600改造のハリボテ)はバッファーが付いたままなんですけど(笑)

※余談ながらこの設定は映画版「伝説の英雄」(最後に日本へ帰国)と日本から再び戻ってくるTVシリーズ・シーズン13の間と推測されます。日本から多客時に毎年出稼ぎに来ているなんて設定がなければ・・・まぁそこは日本のファン獲得のためのオトナの事情(最近は欧州以外にアフリカやアメリカのマンモス機関車まで・・・)ということなのでしょうけど・・・

特にバック運転は考慮していない(ライトは点きますが)ので、飾りですがバッファーを付けます。
ナロー動力する際に「チビ客車動力」をザク切りにした時に余ったバッファーが有りますので先頭だけ、ピンバイスで端梁に穴を開け差し込みます。

(余談ですが・・・左右のバッファーの形状が実物どおり違うんですね。今回初めて気が付きました)

塗装作業です。
まずは下回りから・・・動輪は外さずにプライマー、その上にスカイブルーを面相筆で筆塗りします。

動輪は外した方が作業は楽かもしれませんが、ロッド類の組み上げが大変なので13くらい塗って動輪を少し回し、また13を塗って・・・という感じです。

スポーク部は筆の面でなぞる様にして表面だけを塗ります。水色のスポークが際立って目立ちます。(現行品ならスポークは抜けているので全部塗ってもいいんですけどね)

タイヤ面やスポーク間にはみ出ても後でナイフ等で削れば大丈夫です。
同様にシリンダーケース表面もスカイブルーに塗っていきます。周囲は軟質樹脂なのではみ出たら削ります。


次にランボードをライトグレーに、ボイラーバンドを赤で筆塗りします。赤は少し暗めでモンザレッドにしましたが、あとで「失敗したなぁ」となりました。


端梁付近も赤く塗装、ボイラー前部を艶消し黒で塗装、乾いたらボイラーバンドの上に06mmのマスキングテープで丁寧にマスキングします。

 

引き続き車体全体のうち、水色塗装以外の場所をマスキングします。凸凹が多くマスキングも一苦労です。
塗装ブース(というかただの段ボール箱)で塗装します。車輪と同じ、スカイブルーを使用しています。実際はもう少し深みがある色なのですが、調色せず安易にしています。

吹き洩らし・吹き込みのないように十分注意し、一晩乾燥させます。

 

今回の模型化で一番の障害となったのは「赤帯」です。以前子供のためにプラレールの「エドワード」を塗装したのですが、赤帯のマスキング塗装が思いのほか大変で、それより小さいNゲージサイズの帯は綺麗には出来そうもない・・・と考えておりました。


ところが、少し前のプラレールのトーマスを見てみると、赤帯も含めた全面が印刷シールなのです。この方法なら出来る、と自信がついたのでした。
ホビーショップにてレーザープリンター対応の透明デカールを購入、デザインを作ります。


実際の撮影写真のうち、転車台の写真で水平状態の写真をピックアップしパソコンで版下を作ります。今回作るのはサイドタンクとキャブ後方、半円形の動輪ケースの3か所です。現物に合わせて上下左右幅を調整し、縮尺を若干変えてプリンターで何枚か印刷しました。

 

マスキングテープを剥がします。なかなかいい感じです。

 

トミカトーマスの顔を取り付けます。両面テープに貼付け周囲をカット、バランスを確認したら指先でグッと圧着します。

 

なんか一気に雰囲気が出てきました。

 

デカールをマークソフターを使い貼付けていきます。綺麗な赤帯だったんですが、下地がスカイブルーであったこともあり、暗い赤色になってしまいました。塗装のモンザレッドと色合いで差が出てしまったことが残念です。


何かが違う・・・と思い写真をチェック、屋根上の黒を忘れておりました。あとは細かいところ・・・窓周囲の黄色を塗ります。

乾いたら水性塗料のクリアを吹き付けます。

 

仕上げに入っていきます。
名脇役でありお供である「アニー」「クララベル」役である旧型客車を作ります。

アニー「それにしてもトーマス、エミリーはなんであんなウソを言ったんだろうねぇ?」
トーマス「そうだよね。地球を運んでいるなんてありえないよね。アッハッハ。」
クララベル「ねぇトーマス・・・もう少しスピードを上げたほうがいいんじゃない??後ろから大きな球が・・・私たちを追いかけてきてるわよ!!」
アニー・トーマス「!!!!!」
(第18シーズン「エミリーちきゅうをすくう?」より)

本来はスハ43系ですが、このような塗替え前提でのものですからジャンク品で十分です。いろいろ探すうち、30年ぐらい前のトミックスのオハ35系客車が見つかりました。1つは分解に失敗し屋根を折ってしまったもの、もう1つは塗装表面が荒れてしまっているものです。丸屋根のこちらのほうが似合うように思います。
分解し破損個所は修正、表面を慣らしたのち、黄かん色で塗装します。乾いたらテールランプに赤を色刺しして組み上げます。

 

細部をチェック、とりあえず完成です。
あとは気が付いたころは少しづつ直していく予定です。


いつか出るのを待とうかと思いましたが、結局作って満足です。
元々フリー好きですし、車両も中古なので楽しく作ることができました。
子供もトーマス好きなので、たまに走らせてあげています。


そして今年はC56改造の「ジェームス」が登場します。どんなものになるのかまだ判りませんが、これも作ってみたいですね。

 

 

 

 

2015/02/0217掲載