ナノブロック動力を検証してみる
一般的な模型店や量販店に並ぶNゲージ鉄道模型メーカー(一般的に動力車を含む車両の販売を行っている・・・と定義)と云えば、カトー・トミックス・マイクロエース・グリーンマックス・津川洋行・あとバンダイあたりでしょうか?
フリー車体を作ったり改造するとしたら鉄コレ動力・Bトレ動力・ポケットライン動力あたりが定番です。
そこに・・・意外なメーカーから参戦です。
「ダイヤブロック」で有名なカワダがオトナ向けの小型ブロック「ナノブロック」を数年前より積極的に展開していますが、それの鉄道車両シリーズ・動力化し走行出来る遊びを提唱した「ナノゲージ」システムが発売されました。
ブロックを発展させた鉄道模型といえば昔はプレイモービル、現在ではレゴトレインが有名ですが、独自規格であり、なかなか普及しているとはいえない状況だと思います。
その点ナノゲージは走行システムを9mmゲージとしています。市販の規格に合わせたのは正解だと思います。
これら車両・線路・操作ユニット(これはZゲージメーカー製らしいですね)を独自に開発し、トータルシステムとして発売するというのですから鉄道模型業界的には久しぶりの大きな出来事になると思います。
とはいえ私個人的には気になるのは「動力」です。
この動力が性能的・拡張性などで有用となるならば非常に有難いです。
畑違いからかレビュー等もまだなく、やはり自身で購入して検証してみる事にします。
さっそく量販店へ・・・
新発売であるからか、入口付近の目立つ場所に展示されています。結構手にとって見ている人も多いようです。
現在あるのはトータルセットの他に車両(新幹線を中心に5、6種ほど)、動力ユニット及び走行用台車、パワーユニット、そしてホームです。
その中から動力ユニットを観察です。

箱は15cmの正方形、奥行きは4cmとかなり大振りです。
【対象年齢12歳以上】

・・・普通のNゲージより高いんですね。カトーのセットでも8歳以上だったかと思いますが。やはりブロック自体の細かい精度があるからでしょうか?
持ってレジへ・・・
正直動力ユニットは3千円ちょっとなのですが、ショーケースに並んでいる動力より割高です。それどころかハノーバー路面電車やチビ凸セット、更にはキハ20系セットも買える値段です。
「そっち買ったほうがいいんじゃないの?」
・・・という葛藤に悩む事数分間、今後の投資と考え会計しました。
帰ってパッケージを開く前に盗難防止のタグが気になり、丁寧に剥がして分解してみました。

中は0.1mm位の薄いメッキの施された鉄片が数枚入っていました。しっかりと磁石に付き、ハサミで簡単に切れるので何かに使えそうです。
本体に戻りまして・・・
箱を開けるとブリスターパックの中心にちんまりと動力が収まっています。その他説明書のみ・・・

説明書にはブロックの走行ユニットの説明が載っています。この被せるパーツがあれば何でもブロックを乗せられるわけです。

販促用のモニター画面では金閣寺が走っておりました。(笑)
ユニットの取り外し方も乗っていますが・・・クリップでコジれとか粘着テープ張って引っ張れとか、何だか鉄道模型の扱いとは思えない斬新な取り外し方です。

台車は鉄コレの最近の動力に似ています。
ブロック接続を前提にしているものですが、集電は車輪の内側にあり、プラ板等で調整すれば鉄コレ台車レリーフ等が移植できます。個人的にはこの適度にディフォルメされた形状も好きなんですが。

動力構造ですが、ブラックボックスの隙間から窺い知る程度の推察です。
カトーのBトレ動力位の両軸の小型モーターが中心にあり、小型のフライホイールが両側1箇所づつあります。これは効きそうです。その先に金属製のウォームギアがあり、幾つかのギアを介して台車へ動力を伝達します。

カワダにとって初めての動力ですが、基本的かつ確実な構造であると思います。
台車はかなり自由な角度で動き、スーパーミニカーブレールも対応可能です。ただし、あまり首をひねると車軸内側の集電板が外れます。

動力車のサイズですが、実寸から計算すると12m位、鉄コレのTM−1/TM−3位でしょうか? とてもコンパクトにまとまっています。
12m・・・ということで、鉄コレの第一弾の12m級車両を探して、台車サイズ等を比較してみます。

車体サイズはほぼ一緒ですが、台車はかなり大きめです。台車レリーフは大型車両のものから使う事になりそうですね。
車体を被せて・・・

側面窓ガラスの天面があり、完全には入りません。とりあえず外して被せるとピッタリ入りました。ガラスは天面を削るか窓セル対応でいきましょうかね。

カプラーはアーノルド基本形で十分ですが、ナックルカプラー等の対応は不明です。
ダミーカプラー交換等、気になる方はカプラー部をカットしても大丈夫そうです。
車体を被せただけの状態ですがテスト走行です。
走行条件ですがウェイト積載無し、線路はユニトラックの複線プレート及びユニトラックコンパクト、パワーパックは純正セットに近い条件を鑑み、ロクハンのRC−02を使用しました。

走り始めからスルスルと静かに動き始め、停止時にはフライホイールがよく効き、かなり滑る印象です。
皆さんが普通走行する常識域のスピードで急に電源をカットオフする状態・・・を想像して頂きたいのですが、慣性で5〜10cm位動き、止まる感じです。
その効果もあり、ダブルクロスでもギクシャクすることなく通過します。これは嬉しいですね。
感触としては小型の動力ユニットとしては優秀だと思います。
次に車体を電動貨車に変えて(笑)、牽引試験です。

小型のワムを5両程度牽引してみましたが、平坦地では問題ありません。勾配では試してみませんが、補重すれば大丈夫だと思いますが・・・ブラックボックスの両端になりますかね。
とはいえ電動貨車ですと2両位がいいバランスです。写真ではこの位で・・・

総括しますと、この動力はかなり使えそうです。正確なスケールモデルではありませんが、フライホイールの効果が高く、走破性がかなり高いです。
台車とカプラーのアレンジ、そして補重次第で機関車動力としても使えそうです。アルナインの電気とか・・・
価格がTM−3と比べて高いので、用途に応じて使い分けしたいと思います。
カワダもかなり力を入れているナノゲージ、今後のバリエーション展開を期待していきたいと思います。
ブロックのラインナップに蒸気機関車もあるので、ぜひそっち方面の動力も・・・
2014/03/28〜04/01掲載

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